広島の日本酒製造工程を説明
酒米:麹菌:酵母:三段仕込み
●酒米の精米
まず、酒米を精米する。普通、70%以下に精米する。これは、雑味になる米のタンパク質を取り除くためなのです。
精米歩合は吟醸酒などになると60%以下に変わってくるが、50%以下の精米歩合になると、精米に数日かかることもある。
●米を洗い、吸水させてから蒸す
精米した米を洗う(洗米)。洗った米は吸水してから蒸す。米の水分量によって蒸米の状態が変わり、後の行程に影響する。それだけに、米を水に浸す時間は、杜氏の経験とカンがものを言う部分です。
●麹づくり。酒の味が決まる重要な行程だ
蒸し米を30~32度くらいの温度に冷まし、麹菌の胞子を種付けし、麹づくりを行なう。床期間と棚期間40~48時間に分けられ、30~42度の温度に保って、麹菌を米粒の内部まで、はぜ込ませる。
麹づくりは杜氏がもっとも気をつかう行程になる。
麹づくりの米の使用量は全体の2割程度だが、これで酒の味が決まることになるからです。
●「酒のもと」となる酒母づくり
小型タンクに汲んだ水に、冷ました蒸米と米麹を入れ、そこに培養された酵母を加える。しばらくすると自然に発酵が進み、甘酸っぱい香りの、どぶろく状の酒母ができる。麹づくりと並行して行なわれます。
●三段階に分けて酒を仕込む=三段仕込み
酒母を大型タンクに移し、蒸米・麹・水を加える。仕込みは日をあけて、三回に分けて行なわれる。一回目を「初添え」、二回目を「仲添え」、三回目を「留添え」と言います。
一度に全部の量を入れると、酵母の濃度が薄れ、雑菌が繁殖しやすくなるためです。この「三段仕込み」は日本酒独特の方法で、古くは室町時代に確立されました。
●じっくり発酵させ、貯蔵する。
発酵が進むと、「もろみ」から泡立つ状態が続き、約二十日でアルコール発酵が終わる。
このもろみを搾ると新酒となり、搾った残りは酒粕となる。酒をろ過し、火入れという加熱殺菌を行ない、貯蔵する。
酒造りは、初冬の十一月頃から始まり、それが新酒として市場などに出回るのは六月頃になる。
さらに、熟成させた酒が出荷されるのは秋頃となり、酒造りは約一年という長丁場で行なわれるものです。