精米歩合:米麹:特定名称酒:酒造好適米:原酒:生酒
日本酒製法品質表示
①吟醸酒:精米歩合60%以下の白米、米麹及び水、又はこれらと醸造用アルコール(95%アルコールとして白米の10%以内)を原料として吟味して製造した清酒で固有の香味及び色沢が良好なもの。
②純米酒:精米歩合70%以下の白米、米麹及び水を原料として製造した清酒で香味及び色沢が良好なもの。
③本醸造:精米歩合70%以下の白米、米麹、醸造アルコール(95%アルコールとして白米の10%以内)及び水を原料として製造した清酒で、香味及び色沢が良好なもの。
また特定名称酒のうち、次の要件を満たすものについては下記の名称を容器等に表示することが認められている。
①純米吟醸:吟醸酒のうち、米、米麹及び水のみを原料として製造したもの(大吟醸酒に該当するものには純米大吟醸と表示できる。)
②大吟醸酒:吟醸酒のうち、精米歩合50%以下の白米を原料としたもの。
③特別純米酒:特別本醸造酒:純米酒または本醸造酒のうち、精米歩合60%以下の白米を使用したもの、又は醸造用玄米(酒造好適米)の使用割合が50%を越え、その使用割合を表示したもの。
上記の他に、日本酒の製法品質表示基準では下記の名称を付すには次の要件を満たすことを条件としている。
①原酒:製成後、加水調製をしていない日本酒。
②生酒:製成後、一切加熱処理をしていない日本酒
③生貯蔵酒:製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、製造場から移出する際に加熱処理した日本酒。
④生一本:単一の製造場で製造した純米酒。
⑤樽酒:木製の樽で貯蔵し、木香のついた日本酒。
特定名称の清酒の表示
特定名称の清酒とは、吟醸酒、純米酒、本醸造酒をいい、それぞれ所定の要件に該当するものにその名称を表示することができます。
なお、特別名称は、原料、製造方法等の違いによって8種類に分類されます。
特定名称 | 使用原料 | 精米歩合 | 香味等の要件 | |
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吟醸酒 | 米、米こうじ、 醸造アルコール | 60%以下 | 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好 | |
大吟醸酒 | 米、米こうじ、 醸造アルコール | 50%以下 | 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好 | |
純米酒 | 米、米こうじ | 70%以下 | 香味、色沢が良好 | |
純米吟醸酒 | 米、米こうじ | 60%以下 | 吟醸造り、固有の香味、色沢が良好 | |
純米大吟醸酒 | 米、米こうじ | 50%以下 | 吟醸造り、固有の香味、色沢が特に良好 | |
特別純米酒 | 米、米こうじ | 60%以下 | 香味、色沢が特に良好 | |
本醸造酒 | 米、米こうじ、 醸造アルコール | 70%以下 | 香味、色沢が良好 | |
特別本醸造酒 | 米、米こうじ、 醸造アルコール | 60%以下 | 香味、色沢が特に良好 |
【精米歩合とは】 精米歩合とは、白米のその玄米に対する重量の割合をいいます。 精米歩合60%というときには、玄米の表層部を40%削り取ることをいいます。
米の胚芽や表層部には、たんぱく質、脂肪、灰分、ビタミンなどが多く含まれ、これらの成分は、清酒の製造に必要な成分ですが、多過ぎると清酒の香りや味を悪くしますので、米を清酒の原料として使うときは、精米によってこれらの成分を少なくした白米を使います。
ちなみに、一般家庭で食べている米は、精米歩合92%程度の白米(玄米の表層部を8%程度削り取る。)ですが、清酒の原料とする米は、精米歩合75%以下の白米が多く用いられています。
特に、特定名称の清酒に使用する白米は、農産物検査法によって、3等以上に格付けされた玄米又はこれに相当する玄米を精米したものに限られています。
【麹(こうじ)米とは】
麹(こうじ)米とは、米麹(白米に麹(こうじ)菌を繁殖させたもので、白米のでんぷんを糖化させることができるもの)の製造に使用する白米をいいます。
なお、特定名称の清酒は、麹(こうじ)米の使用割合(白米の重量に対する麹(こうじ)米の重量の割合をいいます。)が、15%以上のものに限られています。
【醸造アルコールとは】
醸造アルコールとは、でんぷん質物や含糖質物から醸造されたアルコールをいいます。
醪(もろみ)にアルコールを適量添加すると、香りが高く、「スッキリした味」となります。さらに、アルコールの添加には、清酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止するという効果もあります。
吟醸酒や本醸造酒に使用できる醸造アルコールの量は、白米の重量の10%以下に制限されています。
【吟醸造りとは】
吟醸造りとは、吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有な芳香(吟香)を有するように醸造することをいいます。
吟醸酒は、吟醸造り専用の優良酵母、原料米の処理、発酵の管理からびん詰・出荷に至るまでの高度に完成された吟醸造り技術の開発普及により商品化が可能となったものです。
【無濾過とは】
濾過とは、酒を搾り、滓下げ(おりさげ)した生酒の中に残っている米のカス様の細かい滓や雑味を取り除くことで、酒の色を、透明に近づける目的もあります。
この工程をあえて省略したものを無濾過の酒と言い、濾過にはいろいろな手法があり、活性炭を使用する濾過方法以外を濾過と呼ばない事が多いようです。
つまり無濾過とは、澱を除いた酒の上澄みの部分を「炭濾過(活性炭濾過)」していない酒のことを言います。
できあがったばかりのお酒は、味も荒いし雑味も多くかなり色もついています。
逆に濾過をすることによって、そのお酒独特の旨みや香りまでも取り除いてしまい、個性のないお酒になってしまったりすることがあります。
無濾過の酒は濾過の必要がないほど味のバランスが良い、きちんと醸した蔵元の自信の表れです。
【山廃仕込とは】
古くから酒づくり職人・杜氏たちに伝えられてきた伝統的な醸造技術のひとつで、酒母製造方法の名称です。
かつては蒸米と麹と水を仕込んだ後、櫂棒という道具ですりつぶす「山卸」という作業を行っていましたが、やがて技術の向上によりこの山卸を廃止した仕込方法が考案され、これが主流となりました。
この仕込方法を“山卸廃止仕込”、略して「山廃仕込」と呼ぶようになりました。
山廃仕込は、空気中の乳酸菌などの微生物を取り込んで自然のままに培養・育成し、 これらの微生物によって有害な雑菌を死滅させ、酵母の育成の環境を整えます。
しかも目的を達成すると、これらの微生物は、麹が生成した糖と乳酸菌自身が生成した乳酸によって消滅し、引き続き雑菌のいない環境で徐々に優良清酒酵母が大量に増殖・育成されるという、まさに自然の摂理にかなった醸造方法です。
山卸酒母では、乳酸は一切添加せず、自然発生する乳酸菌が 出す乳酸だけで雑菌のいない整った環境をつくり、十分に時間をかけて酒母を育てます。
このため速醸酒母より元気で強い酵母が育ちます。
【袋しぼりしずく酒とは】
発酵を終えた醪(もろみ)を酒袋に詰めて、袋吊りという方法で一滴一滴丁寧に、自然にしたたり落ちる雫を集めたお酒です
この方法で搾ったお酒は雑味の少ない高品質で蔵自慢のお酒のみに適用される搾り方です